スポンサーサイト

--/--/-- --

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

ルナ過去編 閑話「フルハウス」

2012/02/29 Wed


「……」

これは何かの冗談だろうか。
一応説明すると、今は8月。夏真っ盛り、日差しが眩しく、蝉がこれでもかと啼き喚く季節。
私は夏が好きだ。春夏秋冬の季節の中でも特に異色と言える『夏』。
この蝉の五月蝿さも、熱すぎる日差しも、夏を楽しむためのスパイスと言える。
それに夏は何だか気分が踊る。だから私はこの季節が好きだ。

好き、なのだが。

「……雪?」

呆れたような、驚いたような。
あまりにも季節外れな窓の外の白い景色に、小さくため息をつく。
曇った窓を眺めながら、軽く頬をつねってみる。夢で会って欲しいと願いながら。
これは何かの冗談だろうか。だとしたら少し面白いと思う。
しかし残念ながら私の頬には確かな痛覚が伝わってきてしまった。

夢。
それは不安と願望が見せる本質的なものだと、どこかで聞いたことがある。
自分の本質がこんなへんてこなものだなんて思いたくないけれど。
とにかく今だけは、おかしな夢を見る。


レムレスは今日は魔導師の仕事やらで忙しいそうだ。
私たちも何も毎日会えるわけではない。お互い学生だし、レムレスは優秀な魔導師だ。
優秀な魔導師は、このようにその名を聞いて依頼を受けることがある。
依頼が来た場合は、そこへ飛んでいかなければならない。魔導師も大変なのだ。
なのですることもなくとりあえず外に出てみた私は今、一人だ。
適当にマフラーや手袋をつけて来たからあまり寒くはない。
8月に雪。明らかに異常気象だ。
それでも。

「……わぁ」

雪はそれなりに積もっていた。
その光景は、やはり昔から心が踊る。雪が積もると嬉しくなるのは何でだろう。
すると、前から赤い帽子を被った少女がやってきた。アミティだ。
声をかけようとした寸前、思い止まる。咄嗟に目を逸らす。
何故か、今アミティと目をあわせてはいけないような気がした。気付かれないように引き返す。

「あれ?」

後ろからこちらを見る気配がする。来るなバカ。
せめてもの救いは、防寒具としてニット帽を被っているので後ろ姿では
すぐに私とわからないことだろうか。気付かれないことを祈って背を向け歩いて行く。

「あれあれ?」

スィー、となめらかな動きでこちらへ近寄ってくる。来るな。近寄るな。
あくまで無視を決め込む。しかし抵抗虚しく、アミティは私を追い越して正面を向いてきた。
ダメだ、もう逃げられない。二度目のため息をついて、アミティを見る。

これは、何かの冗談だろうか。


「あー!やっぱりルナじゃん!」


彼女は、何故かマッチが大量に入った手に籠を抱えていた。
ありえない。マッチ大量という時点で穏やかではない、どうしても嫌な予感が頬を伝う。
放火でもする気だろうか。それとも煙を吸い込んで自殺?はたまたマジック?
どちらにしても付き合う気はない。アミティに聞いてみる。

「アミティ……どういうこと?」

「あれっ、ルナ童話とか知らない?」

「……知ってるけど…」

「マッチ売りの少女だよー!イッツマッチショップガール!」

英語訳がほとんど間違っている。けど今はそんなことどうでもいい。
夏に雪。コスプレをしたアミティ。夢だと思いたい。


「というわけでルナ!あたしと契約してマッチを買ってよ!」

「お断りします」

「買わないとキミの家に麺汁を大量に送り込むよ」

「やめてっ!そんなことをしたらきっとうちのお母さんは
 間違いなくアイスコーヒーと勘違いして私に振る舞う!」


麺汁を飲むのは危険なので絶対にやめましょう。


「ていうかマジで買ってよ!;キミが買ってくれないとあたし家に入れてもらえずに
 凍死して死ぬんだよ!?;あたしゃまだおばあちゃんのところには行かないよ!」

「知るか!物語上死ぬんだからおとなしく死ね!」

「言ったな『最高にウザい奴ランキングINプリンプ』で見事一位を制した奴!」

「何そのイジメアンケート」

「買ってくれたらラザニアあげるからさ」

「私がラザニア程度で釣られると思ってんの?」


そんな押し問答を繰り返す。別にマッチ一本程度大した値段ではないので
買っても良かったのだが、必要ないし何よりここで買ったら全てが終わってしまう気がする。
マッチ売りの少女という童話を知っているだろうか。
父にマッチを売らないと家に入らせないと言われたので、少女は必死にマッチを売ろうとする。
しかし結局一本も売れず、マッチをすってその中に幻覚を見ながら少女は凍死するというお話だ。
ということは、この夢のような現実ではアミティは死んでしまうのだろうか?

「…あのさ、これ夢だよね?」

「は?;夢なわけないじゃん、人生はいつだって現実(リアル)なんだよ」

「……じゃ、じゃあ一本買おうかな」

アミティも家を閉めだされてしまったらしい。
もしこれが夢だとしても、アミティを死なせるわけにはいかないだろう。
おずおずとそう言うと、アミティは黙ってマッチ1本を渡し、私の財布から一瞬で金を抜き取る。
これは驚いた。アミティにこんな特技があったとは。数秒の沈黙。
そして、アミティはくるりと背を向け、足に力を入れ思い切り脱兎のごとく逃げ出した。


「その言葉が聞きたかったッ!普通に夢だよバカじゃねーの!?さらばだ大間抜け!」

「お前覚えてろよ!!」


そう叫んだ瞬間、私の意識はぷつりと途絶えた。





目が覚めると、私は自分の部屋のベッドの上にいた。
小さめのクッション。小さな温かい暖炉。読みかけの本。
壁は、どこかお菓子を彷彿とさせるポップなチェックの模様。
ゆっくりと起き上がり、眠気眼で窓を開ける。
瞬間、私の眠気は全て吹き飛んだ。

夢。
それは不安と願望が見せる本質的なものだと、どこかで聞いたことがある。
自分の本質がこんなへんてこなものだなんて思いたくないけれど。
とにかく今だけは、おかしな夢を見る。








終わり

『カプリッチオ』というお話を真似しようとした結果がこれだよ!
これは閑話なのでストーリーとは全く関係ないです。

コメント

Secret

カレンダー
07 | 2017/08 | 09
- - 1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31 - -
プロフィール

レイ

Author:レイ
あるブログを見て、
何かを感じたので作成。
元リザレス。
毎日更新してます。
ポケモンとか好きです。
ぷよぷよも好きです。
テイルズも好きです。


リンクフリーなのです。
自由きまま気軽に
リンクぺたして
くださいなのです。

うごメモという物をやってた。



現在、禁止ワードに
「http」を設定してあるので、
お手数ですがHP等を書きたい
場合、hを抜くなどして
対処をお願いしやす。
フレンドが多すぎるので
フレコ交換は跳ねる
時があります。

最近の記事
最近のコメント
カテゴリー
月別
09  03  01  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09 
訪問者数
カウンターです。。。
閲覧数
現在の閲覧者数:
ポケモンXYカウント
メールBOX

名前:
件名:
本文:

いままでのきろく
ブログ内検索
RSSリンクの表示
リンク
くりっくしてね

FC2Blog Ranking

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。